中南米の大自然と遺跡の数々。
9ヶ月に及ぶ縦断の記録です。
第30話 1997年2月26日(水曜日) 21:40                               


 <<1997年2月26日(水曜日) 21:40>>

 今日はよく頑張ったと思う。メーターの記録は走行距離:181.73km、走行時間:8.0時間、最高速度71.0km/h、平均時速22.7km/hとなっていた。追い風にも助けられたけど、かなり良い記録だと思う。ほとんど追い風でほっておいてもメーターは30km/h、40km/hと加速していく。朝ものんびりと9:00くらいに出発して昼食時に2回もコーヒーを沸かし、20:00まで走った。余裕のある走行だったが、この辺りは緯度も高いのでなかなか日も暮れず、ついついオーバーワーク気味になるまで走ってしまう。そんな事は十分に分かっていたが、最後だと思うと思いっきり走らずにいられなかった。
 夕方、どこかキャンプできそうなところを探したがそんなところは全く無かった。周りはほとんど地平線か水平線だ。地図に家が2軒ほどある集落がある、と書かれていたのでとりあえずそこまで行けば何とかなると思い、頑張ったが、行ってみるとそれは高級そうなホテルだったのでそのまま通りすぎた。今までの経験上、ここがパタゴニアであろうと関係無く、たいてい「汚い奴来るな!!!」という目で見られるのがおちだった。たとえお金はあっても見た目で断られたことが何度かあった。確かに日本円にしたら大した金額でもなくなんとか泊まれそうなホテルでも、こちらの世界では分類上高級ホテルに属するらしく、そういった所では格式を重んじているのか我々のような貧乏そうで汚らしい格好をしている人種は受け入れてくれないらしい。そう、たとえお金があったとしてもだ。たとえ、受け入れてくれても全く歓迎されないお客になってしまうっていう事を嫌っていう程この旅で体験していた。
 結局、そのすぐ近くでなんとかテントを張れそうな所があったのでそこにテントを張ったのだったが、ほかの国々なら絶対に人目につかないところを探しテントを張っていたのに、どうもパタゴニアに来てからはそんな事をあんまり気にしなくなってきている。それだけ安全なのかもしれないけどあんまり良い傾向ではないように思う。ここで油断したらせっかくのここまでの旅も終ってしまうし、なんと言っても今まで数々の危険な場所を通り過ぎて来たのに、この平和なパタゴニアで何か遭っては死んでも死にきれない。
 もう、ウスアイアまで200kmをきっていると思う。普通なら2日で行ける距離だがラスト100kmくらいがUp−Downを含んだ山岳地帯らしく、おまけに向かい風となっているのでやっぱり3日くらいかかると思う。明日、100km走り、残りを二日間かけて走り、全てが終わる。
 ここ毎日、今までのことや資金稼ぎのバイトのことなどを考えると、何故か涙が出てきて思いっきり歌を歌うしかなかった。もう、旅が終わってしまうけどウスアイアの町に着いたらどんな気持ちになるんだろうか?
 今日は何度も虹を見た。周りの空は明るいのに雨雲の下は雨が降っている。ほぼ360度が地平線に近いのでそこら中に雨雲が発見でき、何度かは逃げ切ることは出来たが、何度かは雨にあたられた。それでも雨が降ってくれたおかげで180度の円を描いた虹を見ることも出来た。もう何も言うことは無い・・・。

 <<1997年2月27日(木曜日) 21:03>>

 明日はいよいよ最終目的地のウスアイアだ。フエゴ島内は5日間かかると思ったが、今日走ってみて、とうとうウスアイア手前65km地点を示す看板に到達し、4日間で行けるのがほぼ確実になった。その看板を見たときに今日はここでキャンプをすることにした。 今朝、出発そうそう食料の買出しや水の調達、水は今まで買っていたがこの辺りでは水道の水も心配なさそうなので、交番に行って蛇口から汲んできた。他の南米諸国の様に水を買わなくても良いというのは本当にありがたい。
 情報通り、ウスアイアの手前105km手前から砂埃の立ちこめるダートに変わった。交通量の割合から考えてもこの辺りはアスファルトにしてもらわないと、砂埃で前が見えなくなるのでいつ車にぶつかってもおかしくない状態だ。もうこうなったら道の良し悪しは考えずひたすら道の右側だけしか走れない。9ヶ月間も髪の毛を切っていないので相当伸びていておまけに毎日砂埃を浴びているので、もう頭には砂がたまっていてざらざらしている。早く思いっきりシャワーを浴びたい。
 もうすでに西へ進路を向けてるのでそろそろ向かい風になっても良い頃なのに全然風が無い。今日は曇っているからだろうか?まあどちらにせよ、向かい風で無いのはありがたい。
 明日の晩飯は何にしようか?ゴール記念に思いっきり肉でも焼こう。


( 第31話へ続く )

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